・その1 〜乏しい資料〜 

その1では放映終了後に出た本から旧ドラに関するものを集めています。

 

秋元文庫「テレビアニメ全集2」杉山卓・著(1978年9月、秋元書房)より

                             

ドラえもん

原作:藤子不二雄

キー局:日本テレビ 制作:日本テレビ動画

放映期間:S48.4.1〜9.30 放映時間:日曜PM7:00〜7:30

形式:15分二話完結 二十七回 脚本:鈴木良武、辻真先

演出:大貫信夫、正延宏三 作画:永樹凡人

主題歌作詞:藤子不二雄 作曲:越部信義

声:富田耕生、野沢雅子(14話から)(ドラえもん)、小原乃梨子、八代 駿、太田淑子

 

ものがたり

のび太の所に未来の国からドラえもんという変な奴がやってきた。

一見大ねこ風で首に鈴などつけているが、どうもねこではないらしい。

未来から来ただけあって、これから起ることについて色々知っている。

のび太もそのおかげで大ケガをする所を小ケガで済んだりするが、

いいことばかりとは限らない。腹の所にポケットがあって、色んな物が出てくる。

おかしな未来ねこ?ドラえもんをめぐって起るゆかいな事件を描いたギャグアニメ。

 

主な登場キャラクター

 

ドラえもん(未来ねこ?)

ある日突然、のび太の部屋に現れて、そのまま居ついてしまった。

腹のポケットからふしぎな道具やものをいろいろ取り出す。

 

野比のびた

できのよくない、気楽な小学生。

しずちゃんはのび太の友だち、スネ夫は同級生でのび太と仲が悪い。

 

〜鉄腕アトムから15年。虫プロダクションで原動画、演出、作画監督などを務めた杉山卓氏の手による、

初めてテレビアニメ全部のデータ、スタッフ、声優、あらすじを調べて収録した本です。

787月発行の@には鉄腕アトムからアタックNo(6369)まで、このAにはあしたのジョーから宇宙戦艦ヤマト

(7074)まで、79年4月発行のBにはフランダースの犬から赤毛のアン(75791)までを収録しています。

アニメ誌が普及する前には、唯一と言って良いテレビアニメの資料でした。ただし、かなり不正確です。

新オバQのキャストは小原乃梨子(Q太郎)大塚周夫(正太)松尾佳子(O次郎)と大変だし、

ジャングル黒べえは日本テレビになってるし、「ミュンヘンへの道」と「てんとう虫の歌」を

入れ忘れているし、作詞・作曲が不明だったり、放映期間、回数、時間帯、キー局、スタッフ、

声優など間違いは数知れず。旧ドラの脚本を書いた事にされている辻真先氏は、自著の「テレビアニメ青春記」

ではっきりと否定しています。@では白黒かカラーと書いてありましたけど、Aでは無くなりました。

旧ドラのあらすじはてんコミを参考にしたらしい。あとがきの一部を紹介します。

 

テレビアニメ全集Aやっとできました。@よりはAの方が時期が新しいだけ資料が集めやすかろうと思ったのですが、

実は大違い。ある意味では@以上に大変な事もありました。古い制作プロが消えたり、新しいプロが

出来たかと思うと一・二作で無くなってしまったりしているので、作品名は良く知られているのに資料が

全く無いなどというのもあります。データ、スタッフ、梗概等出来るだけ正確を期して調べましたが、力不足もあって

部分的には錯誤、誤解による間違い、リストアップに均衡を欠いた所もある事と思います。@では、だいぶあちこちに

誤記、ミス等がありまして、多数の方からご指摘いただきました。まことに恥ずかしいような間違いもありましたが、どうぞご勘弁ください。

 

本人もあとがきで書いているように、この本はかなり間違いが多い模様。

後の旧ドラの資料は全てこの本のデータを元にしているようです。「TVアニメ史 ギャグ編」(82年・

朝日ソノラマ文庫)でも新ドラとは別に旧ドラが紹介されているらしいですが、未入手。


 「TVアニメ大全科」スタジオ・オズ/編(1979年3月、秋田書店)より

  

 ドラえもん

ドジでおっちょこちょいな小学生・のび太の所に未来からやってきた、

ネコ型ロボット・ドラえもんをめぐって起こるゆかいな事件のいろいろ。

 

〜コロタン文庫と同じサイズ。子供向けの本なので、番組のデータなどは

載っていません。この「ゆかいなアイドル」の章では、他に藤子アニメで

「オバケのQ太郎(写真は新オバQ)」「怪物くん」「パーマン」

「ウメ星デンカ」「ジャングル黒べえ」が紹介されています。

 


アニメージュ79年4月号特集「TBS&NTVアニメ16年史」(1979年3月、徳間書店)より

 

ドラえもん NTV 昭和48年

放映期間:S48.4.1〜9.30

放映曜日・時間:日曜日19:00〜19:30

原作:藤子不二雄 

企画:藤井賢祐

演出:大貫信夫 脚本:鈴木良武、辻真先

音楽:越部信義 作画監督:永樹凡人

声優:ドラえもん→小原乃梨子、八代駿、太田淑子ほか

製作プロダクション:日本テレビ動画

 

突如としてのび太の部屋に現れたドラえもんは、見かけは大きなネコのようだが、実は未来の

国から来た超能力を持つヘンなヤツだ。おなかのポケットからは何でも出てくる。

 

●鈴木良武(脚本)

「ドラえもんが居候している家のノビ太たちがSF的な道具を使ってドラえもんを助けるんですね。それに、

ポケットの中の小道具を使えばなんでもできるから、面白いことは面白かったけど、ズッコケ性に欠けて、

オバQほどのびのびと活躍できなかったといえますね。かえって、ワキ役の人間の方がとぼけていましたよ。

そんなことから、なかなか主人公になりにくくて、その点とても苦労しました。」

 

〜のび太がドラえもんを助けるとは、すごい勘違い(笑)。

鈴木良武氏は新・オバケのQ太郎の脚本も書いています。

2月号はフジテレビ、3月号はテレビ朝日、5月号はNHKと大阪の局の特集。

オバQは曽我町子さん、パーマンは鈴木伸一さん、怪物くんは白石冬美さん、

ウメ星デンカは藤子不二雄先生、新オバQは長浜忠夫氏、そして

「モンシェリCOCO」(日本テレビ動画)は正延宏三さんがコメントしています。

テレビアニメ全集が元になっているので、新オバQのキャストなどの間違いはそのままで、

何故かドラえもんが小原さん。「ミュンヘンへの道」のデータはほとんど空欄。

 

インタビューでは、思い出の一作としてTBSの忠隅 昌プロデューサーが

「ミュンヘンへの道」、NTVの藤井賢祐プロデューサーが「男一匹ガキ大将」を挙げています。

ちなみに藤井賢祐氏が担当したNTVの他の作品は、「夕やけ番長」「赤き血のイレブン」

「男どアホウ甲子園」「正義を愛する者・月光仮面」「新・オバケのQ太郎」、

アニメじゃないけど「ワイルド7」など。何だか男っぽい作品が多いですね。

ドラえもんの企画として藤井賢祐氏の名前が有るのはこの資料だけです。

 

新ドラの開始直前ですが、アニメージュでは何故か完全に無視され、全国放映リストにすら

載っていません。ところが80年9月号の藤子不二雄特集では立場が逆転し、

歴代藤子アニメの中で旧ドラだけが無視されてしまっています。

その特集では藤子先生がそれぞれの作品から「私の好きな話」を選んでいました。 

 


「TVアニメ25年史」アニメージュ編集部/編(1988年、徳間書店)より 

  147 ドラえもん

 73年4月1日〜’73年9月30日(1回〜26回)

毎週日曜日 19時00分〜19時30分

30分1回2話全52本 日本テレビ系放映

原作/藤子不二雄■脚本/鈴木良武、辻真先ほか

■演出/大貫信夫、正延宏三ほか■作画監督/永樹凡人

■OP「ドラえもん」歌/内藤はるみ、劇団NLT

ED「ドラえもんのルンバ」歌/内藤はるみ

以上、作詞/藤子不二雄 作曲、編曲/越部信義 

コロムビア・レコード■製作/日本テレビ動画

■ドラえもん(富田耕生、野沢雅子) 

のび太(小原乃梨子)(八代駿)(太田淑子)ほか

※本リストは、諸々の資料を総合して作成した。

 

〔あらすじ〕野比のび太は、勉強も運動もダメな気のいい小学生。

友だちのジャイアンやスネ夫にすぐに馬鹿にされる。ある日、

将来ののび太の借金で生活が苦しい孫の孫・セワシが、過去を変えるため

ネコ型ロボット・ドラえもんをつれてタイムマシンでやってきた。

机から出てきたドラえもんは、のび太のため4次元ポケットから不思議な

力を持つ未来の道具を出してくれるが、つい調子に乗って失敗ばかり。

実はドラえもんも、できの悪い特売品だったのだ。

 

〔解説〕日本テレビ動画製作の藤子アニメ。演出、作画陣は「モンシェリCOCO」

とも共通するスタジオ・テイク、スタジオ・ジョークが中心、原作は70年から小学館の

学習雑誌に連載され、現在も続いている超ロングラン。本作は視聴率低迷のため

ドラえもんの声を富田耕生から野沢雅子に変更したり、ドラえもんのライバルを活躍させ

たりしたが、現在のようなブームには至らず、結局26話で打ち切られた。

この作品のあと、日本テレビ動画は解散となった。

 

〜アニメージュ創刊10周年を記念して、 昭和38年から昭和63年までのTVアニメ全668作品を

網羅した凄い本です。1ページで4作品(新ドラなどは例外)を紹介。今までのどのアニメの

資料本よりも詳しいはず。ところが、旧ドラのデータは他の番組の半分以下で、回数が直った他は

テレビアニメ全集とほぼ同じ。それに旧ドラだけ何故か左下の著作権表示が有りません。

「ミュンヘンへの道」「モンシェリCOCO」には「本リストは、TBS社内の資料を元に、当時の

スタッフの証言を加えて作成した。」と書いてあるので、ドラえもんの解説もスタッフの証言が元に

なっていると思われます。「ミュンヘンへの道」の解説によると、日本テレビ動画は

「東京テレビ動画のスタッフを多く引き継いで新潟に設立された」との事。

一々白黒かカラーか書いていないので、これも旧ドラが白黒アニメと誤解される原因の一つです。

CD「続・テレビまんが主題歌のあゆみ」などと同じようにのび太役が小原さんになっているのは、

多分「テレビアニメ全集2」の声優の順番も原因?正確な配役が一つだけというのは、この本では

旧ドラぐらい。「4次元ポケット」の名前は後に出来たはずだし、「実はドラえもんも、出来の

悪い特売品だったのだ。」というのもいかにも旧ドラらしいですが、この設定が出来たのは75年の

「ドラえもん大事典(てんコミ11巻収録)」です。本当に何も資料が残っていないらしい。

それにしても、新オバQの伸一兄さんの声優がどの本にも載ってないのは何故だろう?

 


その他

「テレビ40年inTVガイド」TVガイド編集部/編1991年、東京ニュース通信社)

「昭和48年度の人気番組」より 

「ドラえもん」(日本テレビ41930

未来の国からのび太少年の家にやってきた猫型ロボットが子供たちの夢を叶えてくれるコミカルアニメ。

54年、テレビ朝日に再登場。キャラクターにマッチした大山のぶ代の声とあわせ人気絶大。

 

昭和48年の人気番組23本のうちの一つとして紹介。ちなみにこの年の他の人気番組は、

「子連れ狼」「新八犬伝」「ひらけ!ポンキッキ」「刑事コロンボ」「非常のライセンス」「ほんものは誰だ!」など、

アニメでは昭和47年に「科学忍者隊ガッチャマン」、49年に「アルプスの少女ハイジ」が紹介されています。

吊り合わない・・・?

 

「テレビ史ハンドブック」(1996年、自由国民社)の「昭和48年」から。

ドラえもん(日本テレィビ系列→テレビ朝日系列)

この年4月から9月まで日本テレビで放送されて一端終了し、6年後の794月から再び放送

されるようになった。のび太少年の家にやってきた猫型ロボットドラえもんが四次元ポケットから

様々な未来の道具を取り出して楽しく遊ぶ。ダメ少年ののび太のほか、腕力型のお人好し、

キザ坊や美人のしっかりものなどの友達がいつものメンバー。この中に出てくる未来の道具の

アイデアが実に多彩で驚かされる。ドラえもんの声をやっている大山のぶ代も人気者になった。

 

地味な表紙で、写真は載っていない厚い本(乱丁だらけだった)。

この二冊はどうやら日本テレビ版とテレビ朝日版を混同している模様です。

東京ムービー制作のオバQ(TBS→NTV)と違って新旧ドラえもんには全く繋がりが無いし、

旧ドラは昭和48年の本放送時も再放送時も話題になっていないはずだし。何故かテレビ朝日の

某ランキング番組で新ドラなのに「1973年〜」というテロップが出た事もあります。

 

「声優事典」(94年初版、96年第二版 キネマ旬報社)

富田耕生、大山のぶ代、野沢雅子:ドラえもん 小原乃梨子:野比のび太 

恵比寿まさ子:源静香【初代】 肝付兼太:骨川スネ夫 加藤正之:のび太のパパ

松原雅子:静香のママ 鳳芳野:スネ夫のママ 青木和代:ジャアンのお母さん【デビュー作】

加藤治:スネ夫のパパ 太田淑子:? 八代駿:? 高坂真琴:?

 

書名の通り声優の事典で、千人以上の声優それぞれの演じた役がTVアニメ・映画・OVA別の年代順で

書かれています。これもかなり誤りの多い本で、第二版第3刷になっても旧ドラはこの通りメチャクチャ。

新ドラと同じ役をしている事になっていたり、番組名しか書いていない場合もあります。

肝付兼太さんのデビュー作は新オバQのゴジラって事になってますが、正式なデビュー作は白黒版オバQのゴジラです

(本人によるとそれ以前に「鉄腕アトム」「0戦はやと」にも出ているらしい)。ジャイアンの母ちゃんが新ドラと同じ青木和代さんで、

デビュー作ってのも信用出来ません。ぼくドラ8号では77年「あしたへアタック」がデビュー作になってました。

 

CD「昭和キッズTVシングルスVOL.8」(2003年5月発売)

現在も放映中の大山のぶ代が演じているものの以前にもアニメ化された「ドラえもん」がある!?と度々

メディアでも話題になる作品が本作である。元々小学館の学習雑誌に連載されていた藤子不二雄の原作を

アニメ化、日本テレビ系毎週日曜日7時の時間帯で1973年4月1日から9月30日まで全27回が放映された。

制作は日本テレビ動画。ドラえもんの声は、初期は富田耕生が、第14回からは野沢雅子が担当した。

シングルは、オープニング、エンディング、各テーマのカップリング。「ドラえもん」のコーラスをつとめる劇団NLTは、

文学座を脱退した俳優の賀原夏子、丹阿弥谷津子らが1964年にグループNLTとして結成した劇団。

 

かなり中身の無い解説。劇団NLTについては、公式サイトの年表そのまま。謎の歌手・内藤はるみさんに

ついては、テレビドラマ「母の曲」の解説で「ドラえもんのテーマも歌っている。」と書かれているだけです。

 

イタリアなどのサイト

サイト1 サイト2 サイト3 サイト4 サイト5

「ドラえもんは1973年以来長い間走るアニメで今日まで放映して、第1のシリーズは27の

エピソードおよび第2のシリーズ(1979年にスタート)が850以上を持っています。(別のサイトの和訳)」

イタリアなどでは73年版をやってから79年版を放送した事になっていますが、

今の所は残念ながら海外で旧ドラが放映されたという物証は有りません。

 

日本テレビWEB版社史

73年   ドラえもんがスタート。」とはっきり書いてあります。

日本テレビにはドラえもんを最初にアニメ化した事を誇りに思っている!?